ビジネスシーンで誰かから聞いた話を伝える際、「○○とのことです」という表現をよく使いますよね。
けれど実は、この言葉を上司や取引先に使っても失礼にならないのか、不安に感じたことはありませんか。
伝言や報告の場面で自然に使える表現だからこそ、正しい使い方を知っておくことが大切です。
ここでは、「とのことです」の基本的な意味から目上への使い方、シーン別の注意点まで、わかりやすく紹介します。
「とのことです」とは?基本の意味と敬語としての位置づけ
「とのことです」は伝聞を表す丁寧な表現です。自分が直接体験したことではなく、誰かから聞いた内容を第三者に伝える際に使います。
1. 「とのことです」の意味とは?
「とのことです」は、他人から聞いた情報をそのまま伝える際に使う表現です。
自分の意見や判断ではなく、あくまで伝聞である点を明確にする役割があります。
たとえば、「部長は明日の会議に出席されるとのことです」という文では、自分が直接確認したわけではなく、誰かから聞いた情報だと示しています。
この表現には客観性があり、責任の所在を明確にする効果もあるのです。
2. 「とのこと」と「とのことです」の違いとは?
「とのこと」と「とのことです」は丁寧さのレベルが異なります。
「とのこと」は体言止めの形で、文章では使えますが、口頭では少し唐突に聞こえることがあります。
一方「とのことです」は「です」がつくことで丁寧な印象になり、ビジネスシーンでの口頭報告やメールに適しています。
基本的には「とのことです」の形で使うほうが、相手に対して丁寧で安心感を与えられるはずです。
3. 「〜だそうです」とのニュアンスの違い
「とのことです」と「だそうです」は、どちらも伝聞を表しますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「だそうです」はややカジュアルで、日常会話でも自然に使える表現です。
対して「とのことです」はより改まった印象があり、ビジネス文書や正式な報告に向いています。
たとえば社内メールなら「だそうです」でも問題ありませんが、取引先への報告では「とのことです」を使うほうが無難でしょう。
「とのことです」は目上に使ってOK?敬語としての考え方
結論からいえば、「とのことです」は目上の人に使っても問題ない表現です。
1. 目上の人にも失礼にならない理由とは?
「とのことです」は敬語として正しい形式を備えています。
「です」という丁寧語が含まれているため、上司や取引先に対して使っても失礼にはあたりません。
むしろ伝聞であることを明確に示すことで、情報の出どころを尊重している姿勢が伝わります。
ただし、誰からの情報なのかを明示することが重要です。「○○様がおっしゃっていたとのことです」のように、主語を添えるとより丁寧になります。
2. 「とのことです」がふさわしい場面とは?
この表現が最も活きるのは、第三者からの伝言を正確に伝える場面です。
たとえば、上司から預かった伝言を別の社員に伝えるときや、取引先からの連絡内容を社内に共有するときなどが該当します。
会議の議事録や報告メールでも、誰がどのような発言をしたのかを客観的に記録する際に便利です。
自分の推測を交えず、事実をそのまま伝えたいときにこそ「とのことです」が役立つのです。
3. 避けたほうがよい相手や場面とは?
一方で、目下の相手や同僚に使うと少し堅苦しく感じられることがあります。
社内の親しい同僚に対しては、「〜だそうですよ」や「〜みたいです」といった柔らかい表現のほうが自然かもしれません。
また、謝罪が必要な場面では「とのことです」を使うと他人事のように聞こえてしまう恐れがあります。
クレーム対応や自社のミスを説明する際には、「申し訳ございません」など直接的な謝罪表現を優先するべきです。
ビジネスシーンでの「とのことです」の使い方
日常のビジネスシーンでは、場面ごとに少しずつ使い方を変えることで、より自然な印象を与えられます。
1. 社内で上司に伝言するときの使い方
上司に伝言を伝える場合は、情報源を明確にすることが大切です。
「営業部の田中さんが、明日の打ち合わせは14時からとのことです」のように、誰から聞いた情報なのかを添えましょう。
このように伝えることで、上司は必要に応じて直接確認できますし、あなた自身の責任も明確になります。
口頭で伝える際には、表情や声のトーンにも気を配ると、さらに丁寧な印象になるはずです。
2. 社外の相手に伝えるときの書き方・言い方
取引先など社外の相手に伝える際は、より慎重な表現を心がけたいものです。
「弊社○○より、納期は来週金曜日とのことでございます」のように、「ございます」を添えるとさらに丁寧になります。
メールの場合は、件名にも内容を簡潔に記載し、本文では情報源と内容を分けて書くと読みやすくなります。
電話で伝える場合も、一度確認した内容であることを強調すると、相手に安心感を与えられるでしょう。
3. 電話・口頭での「とのことです」の自然な使い方
電話や対面での会話では、文章よりも柔らかい印象を意識することが大切です。
「先ほど確認しましたところ、○○とのことでした」のように、過去形を使うと自然に聞こえます。
また、「とのことです」の前に「〜とおっしゃっていました」を加えると、より丁寧で温かみのある表現になります。
会話のリズムを考えて、あまり連続して使わないように注意すると、堅苦しさが和らぐはずです。
4. 会議の共有や報告メールでの使い方
会議の議事録や報告メールでは、「とのことです」を使うことで客観性を保てます。
「A社の山田様からは、次回の提案を楽しみにしているとのことでした」のように、相手の発言をそのまま記録する際に便利です。
複数の意見を並べる場合は、それぞれに「とのことです」をつけると分かりやすくなります。
ただし、同じ文章内で何度も使うと単調になるため、「〜という意見がありました」などの言い換えも併用しましょう。
「とのことです」を使うときの注意点
便利な表現だからこそ、使い方を間違えると相手に誤解を与えてしまうことがあります。
1. 使いすぎると堅くなりすぎる理由とは?
「とのことです」を連続して使うと、文章全体が硬い印象になってしまいます。
特にメールや報告書では、同じ表現が繰り返されると読みづらくなりがちです。
おそらく、この表現が持つ改まったニュアンスが積み重なることで、距離感を感じさせてしまうのでしょう。
適度に言い換え表現を挟むことで、文章全体のバランスが取れるはずです。
2. 主語や誰の発言かをはっきりさせるコツ
「とのことです」を使う際、誰からの情報なのかを明確にしないと、受け手が混乱してしまいます。
「明日は休業とのことです」だけでは、誰がそう言ったのかが不明確です。
「店長によりますと、明日は休業とのことです」のように、情報源を明示することが重要です。
ビジネスでは情報の正確さと責任の所在が求められるため、この点を意識するだけで信頼度が大きく変わります。
3. 「〜だそうです」「〜みたいです」との使い分けのポイント
状況に応じて表現を使い分けることで、コミュニケーションが円滑になります。
「だそうです」は比較的カジュアルで、社内の日常的なやり取りに向いています。
「みたいです」はさらに砕けた表現なので、親しい同僚との会話で使うとよいでしょう。
一方「とのことです」は、正式な報告や社外への連絡など、改まった場面で選ぶべき表現です。
「とのことです」のよくあるNGパターン
正しい使い方を知っていても、状況によっては避けたほうがよい場合があります。
1. 目下の人に使うと違和感が出るケースとは?
後輩や部下に対して「とのことです」を使うと、やや距離を置いた印象を与えてしまいます。
「明日の会議は10時からとのことです」と伝えるよりも、「明日の会議は10時からだそうです」のほうが親しみやすく聞こえます。
相手との関係性によっては、丁寧すぎる表現がかえって壁を作ってしまうこともあるのです。
フラットなコミュニケーションを目指すなら、少し砕けた表現を選ぶほうが自然でしょう。
2. クレームや謝罪メールで避けたい使い方とは?
謝罪が必要な場面で「とのことです」を使うと、責任を他人に転嫁しているように受け取られる恐れがあります。
「担当者が不在だったとのことです」という表現は、言い訳のように聞こえてしまいます。
こうした場面では、「担当者が不在でご迷惑をおかけしました」のように、自社の責任として受け止める姿勢を示すべきです。
伝聞表現は便利ですが、謝罪の誠意を伝えたいときには別の言い回しを選びましょう。
3. ビジネスメールで回りくどく感じられる文の形とは?
「とのことです」を使った文が長くなりすぎると、読み手にストレスを与えてしまいます。
「先日お話ししていた件につきまして、先方の担当者様に確認を取りましたところ、来週中には回答をいただけるとのことでした」という文は、情報が詰め込まれすぎています。
このような場合は、文を分割するか、箇条書きを使うことで読みやすくなります。
- 先方の担当者様に確認を取りました
- 来週中には回答をいただけるとのことです
このように整理すると、情報が一目で伝わりやすくなるはずです。
「とのことです」の言い換え・類語表現
同じ表現ばかりを使わないために、状況に応じた言い換えを知っておくと便利です。
1. 「ということです」「そうです」などの基本的な言い換え
「ということです」は「とのことです」とほぼ同じ意味で使えます。
「明日は雨だということです」のように、少しカジュアルなニュアンスになります。
「そうです」はさらに簡潔で、「明日は雨だそうです」という形で日常的に使われています。
これらの表現を織り交ぜることで、文章のリズムが生まれ、読みやすくなるでしょう。
2. かしこまった場面で使える少しかしこい言い換え
よりフォーマルな場面では、「〜とのお話でした」「〜とうかがっております」という表現が使えます。
「先方からは好意的なご意見をいただいているとうかがっております」のように、敬意を込めた表現になります。
「〜との由です」という古風な言い回しも、書面では見かけることがあります。
ただし、これらは少し堅い印象があるため、相手や状況を見極めて使うことが大切です。
3. カジュアルな場面で使えるやわらかい言い換え
社内の親しい同僚とのやり取りでは、もっと柔らかい表現を選びましょう。
「〜らしいです」「〜みたいです」「〜って聞きました」などが自然です。
「明日の飲み会、延期になったらしいですよ」のように、親しみやすい印象を与えられます。
このような表現を使い分けることで、相手との距離感を適切に保てるはずです。
4. メールで便利なクッション表現との組み合わせ方
「とのことです」の前後にクッション表現を加えると、より丁寧で読みやすくなります。
「ご確認いただいたところ、○○とのことでございました」のように、前置きを添えると印象がよくなります。
「念のため申し添えますと」「お聞きしたところによりますと」といった表現も便利です。
こうした工夫で、メール全体が丁寧で配慮の行き届いた印象になるでしょう。
「とのこと承知いたしました」は正しい?関連フレーズの確認
「とのことです」を受け止める側の表現についても確認しておきましょう。
1. 「とのこと承知いたしました」の意味と使ってよい場面とは?
「とのこと承知いたしました」は、相手から伝えられた内容を理解したことを示す表現です。
この言い回しは、上司や取引先からの連絡に対して、内容を受け取ったことを丁寧に伝える際に使います。
たとえば、「明日の会議が延期とのこと、承知いたしました」のように返信すると、スムーズなコミュニケーションになります。
ただし、やや形式的な印象があるため、社内の日常的なやり取りではもう少し柔らかい表現を選んでもよいでしょう。
2. 「承知しました」「かしこまりました」との違いとは?
これらの表現には、微妙なニュアンスの違いがあります。
「承知しました」は理解したことを伝える標準的な表現で、社内外問わず広く使えます。
「かしこまりました」はより丁寧で、取引先や目上の人からの依頼を受ける際に適しています。
「とのこと承知いたしました」は、伝聞の内容を受け止めたことを示すため、主に連絡や報告への返答として使われます。
3. 返信メールで自然に見えるフレーズの選び方
返信メールでは、相手の言葉を受けて自分の理解を示すことが大切です。
「ご連絡ありがとうございます。延期とのこと、承知いたしました」のように、まず感謝を伝えてから承諾すると印象がよくなります。
「拝承いたしました」「了解いたしました」といった表現も状況に応じて使えます。
相手との関係性や内容の重要度に合わせて、最適なフレーズを選ぶことが円滑なコミュニケーションにつながります。
「とのことです」をもっと自然に使いこなすコツ
最後に、この表現をより効果的に使うための実践的なポイントを紹介します。
1. 一文が長くなりすぎない言い回しの工夫
「とのことです」を含む文は、どうしても長くなりがちです。
「先日お話しした件について先方に確認したところ、来週中には返事をいただけるとのことでした」という文は、途中で区切ったほうが読みやすくなります。
「先日お話しした件について先方に確認しました。来週中には返事をいただけるとのことです」のように分けると、スッキリします。
一文一義を意識することで、相手に伝わりやすい文章になるはずです。
2. 同じ文章で何度も使わないための言い換えパターン
一つの文章内で「とのことです」を何度も使うと、単調で読みづらくなってしまいます。
最初は「とのことです」を使い、次は「〜という話でした」「〜だそうです」と変化をつけましょう。
以下のように言い換えパターンを持っておくと便利です。
- 〜とのことです
- 〜という話を聞きました
- 〜だそうです
- 〜とうかがっています
- 〜との報告を受けました
これらを使い分けることで、文章全体に自然なリズムが生まれます。
3. シーン別ロングテールフレーズ例(ビジネスメール・会話・報告書)
具体的な場面ごとに使える表現をまとめておきます。
ビジネスメール
- 先方より、納期は○月○日とのことでございます
- ご確認いただいたところ、問題ないとのことでした
- お客様からは満足しているとのお言葉をいただきました
電話・対面での会話
- 先ほど確認しましたら、在庫があるとのことでした
- 部長がおっしゃるには、明日で大丈夫とのことです
- 担当者に聞いたところ、対応可能とのことでしたよ
報告書・議事録
- A社からは前向きに検討したいとのご意見がありました
- 参加者の多くが賛成とのことでした
- 次回は来月中旬を予定しているとの報告を受けました
このように場面に応じた表現を使い分けることで、より自然なコミュニケーションが実現できます。
まとめ
「とのことです」は、ビジネスシーンで誰かから聞いた情報を丁寧に伝える際の基本表現です。
目上の人にも使える敬語表現ですが、使いすぎると堅苦しくなるため、言い換え表現も併用することが大切です。
場面や相手との関係性に応じて、「だそうです」「という話でした」などの柔らかい表現を選ぶこともできます。
情報源を明確にし、一文を短く保つことで、相手に伝わりやすい文章になるはずです。
日常のコミュニケーションの中で、少しずつ使い分けの感覚を磨いていけば、きっと自然な言葉遣いが身についていくでしょう。

