図書館司書は食べていけないって本当?給料の現実と底辺と言われる理由を解説

「図書館司書になりたいけれど、給料が安いという話を聞いて不安になっている」――そんな声をよく耳にします。本が好きで、静かな環境で働けることに魅力を感じる人は多いでしょう。でも実際のところ、図書館司書という仕事だけで生活していくのは難しいのでしょうか。

ここでは図書館司書の給料の実態や、なぜ「底辺」という言葉で語られることがあるのか、その理由を詳しく見ていきます。正規職員と非正規職員の違いや、現場で働く人たちのリアルな状況も紹介しますので、これから図書館司書を目指す人にとって参考になるはずです。

目次

図書館司書の給料はどのくらい?

図書館司書の給料を語るうえで、まず知っておきたいのが「雇用形態によって収入が大きく変わる」という点です。同じ図書館で同じような仕事をしていても、正規職員か非正規職員かで年収に何倍もの差が生まれます。これから具体的な金額を見ていきましょう。

1. 正規職員と非正規職員で給料が大きく違う

図書館で働く司書には、大きく分けて正規職員と非正規職員の2つの雇用形態があります。正規職員は地方公務員として採用されるケースが多く、安定した収入と福利厚生が得られます。一方で非正規職員は、契約社員や嘱託職員、パートといった形で働くことになります。

正規職員の平均年収は400万円から600万円ほどで、勤続年数によっては更に上がっていくこともあるでしょう。ボーナスや退職金もしっかりと支給されます。これに対して非正規職員の年収は150万円から300万円程度にとどまります。月収にすると13万円から19万円といったところです。

この差は驚くほど大きいと感じるかもしれません。同じ図書館で本の貸し出しやレファレンスサービスを担当していても、雇用形態が違うだけで生活水準がまったく変わってしまうのです。

2. 非正規職員の年収は150万円〜300万円

非正規職員として働く図書館司書の多くは、時給制で雇われています。時給は地域によって差がありますが、おおむね996円から1,300円程度です。これは最低賃金に近い水準といえるでしょう。

仮に時給1,000円で1日7時間、月20日働いたとすると、月収は14万円になります。年収にすると168万円です。ここから税金や社会保険料が引かれると、手取りはさらに減ります。ある非正規職員の方は「手取り9万8,000円では暮らせない」と訴えていました。

さらに非正規職員には昇給やボーナスがほとんどありません。何年働いても給料がほぼ横ばいという状況が続くのです。実家暮らしや配偶者の収入がある人でなければ、一人で生活していくのは相当厳しいかもしれません。

3. 正規職員の年収は400万円〜600万円

一方で正規職員として採用されれば、状況は大きく変わります。地方公務員として働く図書館司書の年収は、平均で400万円から600万円ほどになります。勤続年数が長くなれば、600万円を超えることもあるでしょう。

正規職員には毎年の昇給があり、ボーナスも年に2回支給されます。退職金制度もしっかりしているため、長く働けば働くほど安定した生活が送れます。社会保険や福利厚生も充実していますので、安心して働ける環境といえるでしょう。

ただし正規職員になるには地方公務員試験に合格する必要があり、その競争倍率は非常に高いのです。次のセクションで詳しく見ていきますが、正規職員の枠はとても限られています。多くの人が非正規職員としてスタートし、そのまま何年も働き続けているのが現状です。

図書館司書が底辺と言われる理由

図書館司書という職業が「底辺」と呼ばれることがあります。これは決して仕事の内容や価値を否定する言葉ではありません。むしろ雇用の不安定さや待遇の悪さを指して使われているのです。ここではその背景にある具体的な理由を見ていきましょう。

1. 非正規雇用が全体の7割を占めている

図書館で働く職員の約7割が非正規雇用だというデータがあります。ある調査では、図書館職員全体の72.6%が非正規職員でした。つまり10人いれば7人以上が契約社員やパートなのです。

正規職員の枠が限られているため、多くの人が非正規のまま長年働き続けています。専門的な資格を持っていても、安定した雇用につながらないという現実があります。これでは将来の見通しが立てにくいでしょう。

図書館の運営予算が削減されている自治体も多く、人件費を抑えるために非正規職員が増えている側面もあります。本来は専門職として評価されるべき仕事なのに、雇用形態がそれを反映していないのです。

2. 時給が最低賃金に近い水準

非正規職員の時給は、地域の最低賃金に近い金額に設定されていることが多いようです。時給1,000円前後で働いている人も少なくありません。これはコンビニやスーパーのアルバイトと変わらない水準です。

司書資格を取得するには、大学で単位を取るか講習を受ける必要があります。それなりの時間と費用をかけて資格を得たのに、時給が最低賃金レベルというのは納得しにくいかもしれません。専門性が給料に反映されていないと感じる人も多いでしょう。

さらに図書館の開館時間に合わせて早朝や夜間、土日に働くこともあります。生活リズムが不規則になりやすいのに、時給が低いというのは働く側にとって厳しい条件です。

3. 昇給やボーナスがほとんどない

非正規職員の場合、昇給制度がないところがほとんどです。何年働いても時給が変わらないため、収入を増やすことが難しいのです。ボーナスも支給されないか、あってもごくわずかな金額にとどまります。

正社員であれば勤続年数に応じて給料が上がっていくのが一般的でしょう。しかし非正規職員にはそうした仕組みがありません。10年働いても初年度とほぼ同じ給料ということもあり得ます。これではモチベーションを保つのも難しいかもしれません。

キャリアアップの道筋が見えにくいことも、底辺と言われる一因でしょう。経験を積んでもそれが給料に反映されないため、将来に希望を持ちにくい環境になっています。

4. 雇い止めのリスクがある

非正規職員には契約期間があり、更新されないこともあります。特に「5年で雇い止め」というルールを設けている自治体が多いようです。これは労働契約法の影響で、5年を超えて働くと無期雇用に転換される可能性があるため、それを避けるための措置です。

つまりどんなに真面目に働いていても、5年経ったら契約が終了してしまう可能性があるのです。安定して働ける保証がないため、生活設計が立てにくいでしょう。住宅ローンを組むのも難しいかもしれません。

雇い止めになれば、また別の図書館で仕事を探すことになります。そこでも非正規職員としてスタートし、また数年後には契約終了という繰り返しです。こうした不安定さが、底辺という言葉につながっているのでしょう。

図書館司書だけで食べていけないのは本当?

「図書館司書の給料だけで一人暮らしはできるのか」――これは多くの人が気になる点です。結論から言うと、非正規職員の場合はかなり厳しいというのが現実でしょう。では実際に働いている人たちはどうやって生活しているのでしょうか。

1. 単独で生活している人は2割以下

ある調査によると、非正規職員のうち「自分の収入だけで生計を立てている」という人は全体の2割以下でした。残りの8割は家族の収入が主であったり、配偶者の扶養内で働いていたりします。つまり図書館司書の収入だけで独立して暮らしている人は、かなり少数派なのです。

月収13万円から19万円では、家賃や光熱費、食費を払うだけで精一杯でしょう。貯金をする余裕もほとんどありません。急な出費があったときに対応できないという不安を抱えながら働いている人も多いはずです。

一人暮らしを続けるには、何か別の収入源が必要になります。図書館司書の仕事だけで生活していくのは、現実的にはかなり難しいといえるでしょう。

2. 実家暮らしや扶養内勤務が多い

非正規職員として働く人の多くは、実家で暮らしながら働いているようです。家賃や食費を家族に頼ることで、低い給料でもなんとかやっていけるのです。また配偶者の扶養内で働くために、わざと勤務時間を調整している人もいます。

扶養内勤務の場合、年収を130万円以内に抑える必要があります。そのため週3日や短時間勤務といった働き方を選んでいる人も少なくありません。これなら配偶者の社会保険に入ったまま働けますし、税制上のメリットもあります。

ただしこうした働き方は、あくまで「誰かの支えがある」ことが前提です。もし実家を出たい、あるいは配偶者に頼らず自立したいと思っても、図書館司書の収入だけでは難しいというジレンマがあります。

3. 副業や配偶者の収入に頼るケースも

図書館司書の仕事だけでは生活が成り立たないため、副業をしている人もいます。図書館の勤務が終わった後に別のアルバイトをしたり、休日に在宅ワークをしたりしているのです。ただし体力的にかなりきついでしょう。

配偶者がいる場合は、相手の収入が主で自分は補助的に働くというパターンが多いようです。この場合は生活に余裕が出ますが、経済的に自立しているとは言い難いかもしれません。もしパートナーとの関係が変わったとき、急に生活が立ち行かなくなるリスクもあります。

図書館司書という仕事が好きで続けたいけれど、給料だけでは暮らせない――そんなジレンマを抱えながら働いている人が多いのが現実です。

正規職員になるのはどのくらい難しい?

給料や雇用の安定性を考えると、やはり正規職員を目指したいところです。しかし正規職員になる道は、かなり狭き門だといわれています。具体的にどれくらい難しいのか、その実態を見ていきましょう。

1. 地方公務員試験に合格する必要がある

公立図書館の正規職員になるには、まず地方公務員試験に合格しなければなりません。自治体によっては「司書枠」を設けているところもありますが、多くの場合は一般行政職として採用されます。つまり図書館以外の部署に配属される可能性もあるのです。

司書枠がある場合でも、試験の難易度は高いでしょう。教養試験や専門試験、面接などいくつものステップがあります。さらに図書館に関する専門知識も問われますので、しっかりとした準備が必要です。

試験に合格しても、必ずしも図書館に配属されるとは限りません。数年は他の部署で働いてから、ようやく図書館勤務になるというケースもあります。本当に正規職員として図書館で働くまでには、長い道のりがあるのです。

2. 採用倍率は50倍を超えることも

正規職員の採用枠は非常に限られています。大きな自治体でも年に数名程度、小さな自治体では数年に一度しか募集がないこともあります。その結果、採用倍率は50倍を超えることも珍しくないようです。

50倍ということは、100人応募して2人しか合格できないという計算になります。これは相当な難関でしょう。非正規職員として何年も働きながら、正規職員の試験を受け続けている人も多いようです。

合格できるかどうかは、運の要素も大きいかもしれません。どんなに優秀でも、その年の募集人数や他の受験者のレベルによって結果が変わります。何度も挑戦して、ようやく合格できたという人もいるでしょう。

3. 毎年1万人が資格を取るのに職員数は4万人

図書館司書の資格は、毎年約1万人が取得しています。しかし全国の図書館職員の総数は約4万人程度です。つまり資格を持っている人の方が、働く場所よりもはるかに多いのです。

これは需要と供給のバランスが大きく崩れている状態といえるでしょう。資格を取っても就職できない人や、非正規職員としてしか働けない人が大勢いるのです。正規職員の枠が増えない限り、この状況は変わらないかもしれません。

さらに図書館の数自体が減少傾向にある地域もあります。予算削減の影響で、図書館が統廃合されたり民間委託されたりしています。こうした流れの中で、正規職員の採用はますます厳しくなっているのです。

それでも図書館司書を目指す人がいる理由

給料が低く、雇用も不安定――そんな厳しい現実があるにもかかわらず、図書館司書を目指す人は後を絶ちません。それはこの仕事にしかない魅力があるからでしょう。お金だけでは測れない価値が、そこにはあるのです。

1. 本に囲まれて働けるよろこび

本が好きな人にとって、毎日本に囲まれて働けることは何にも代えがたい喜びです。新しい本が入荷したときのワクワク感や、お気に入りの本を誰かに紹介できる楽しさがあります。読書好きにとっては、まさに理想的な職場といえるでしょう。

図書館にはあらゆるジャンルの本が集まっています。仕事をしながら新しい知識に出会えるのも、この仕事の魅力です。利用者から「おすすめの本はありますか」と聞かれたとき、自分の知識を活かして提案できるのは嬉しいものです。

本の整理や配架作業も、本好きにとっては楽しい時間になります。一見地味な作業ですが、図書館全体を支える大切な仕事です。こうした日々の積み重ねが、利用者の快適な読書環境につながっています。

2. 利用者から直接感謝される瞬間

図書館司書は利用者と直接関わる仕事です。探していた本が見つかったときの笑顔や、「ありがとう」という言葉をもらえる瞬間があります。こうした小さな喜びが、日々のやりがいにつながっているのでしょう。

レファレンスサービスでは、利用者の疑問に答えたり資料を探す手伝いをしたりします。難しい質問に対して適切な資料を見つけられたとき、利用者から感謝されるのは本当に嬉しいものです。誰かの役に立てているという実感が得られます。

地域の人たちとのつながりも生まれます。常連の利用者とは顔なじみになり、ちょっとした会話を楽しむこともあるでしょう。こうした人とのつながりが、仕事を続ける大きな支えになっている人も多いはずです。

3. 専門的な知識を活かせるやりがい

図書館司書には専門的な知識が求められます。本の分類方法や目録作成、データベースの使い方など、学ぶべきことはたくさんあります。こうした専門性を磨いていけるのも、この仕事の魅力でしょう。

デジタル化が進む中で、図書館司書に求められるスキルも変化しています。電子書籍の管理やオンラインデータベースの活用など、新しい知識も必要になってきました。時代に合わせて学び続けられる人にとっては、やりがいのある環境です。

地域の情報拠点としての役割も大きくなっています。イベントの企画や展示の準備など、創造的な仕事もあります。自分のアイデアが形になり、多くの人に喜んでもらえたときの達成感は格別でしょう。

まとめ

図書館司書は確かに経済的には厳しい職業かもしれません。特に非正規職員の場合、その給料だけで独立して生活するのは難しいでしょう。しかしそれでもこの仕事を選ぶ人がいるのは、お金では買えない価値があるからです。

もしあなたが図書館司書を目指すなら、まずは正規職員への道を真剣に考えてみてください。地方公務員試験の準備は大変ですが、それだけの価値はあります。また図書館以外のキャリアパスも視野に入れておくと、選択肢が広がるかもしれません。大切なのは、自分がどんな働き方をしたいのか、何を大切にしたいのかをしっかり考えることでしょう。

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