「おっしゃられる」は二重敬語で間違い?正しい敬語の使い方と言い換えを解説

「先輩がおっしゃられたことなんですが……」

こんなふうに話していて、ふと「あれ、この言い方で合ってるのかな?」と不安になったことはありませんか?

実は「おっしゃられる」という表現は、丁寧に言おうとして生まれた”二重敬語”なんです。間違いだと知らずに使っている人も多いですし、実際の会話ではよく耳にする表現でもあります。ただ、ビジネスシーンでは正しい敬語を使えるかどうかで印象が変わることもあるため、きちんと理解しておくと安心です。ここでは、「おっしゃられる」の何が問題なのか、どう言い換えればいいのかを、分かりやすく紹介していきます 。

目次

「おっしゃられる」は二重敬語なの?

「おっしゃられる」という表現が敬語として不適切だと言われる理由は、敬語が二重に使われているからです 。普段何気なく使っている人も多いですが、文法的には正しくない形になっています。

1. 「おっしゃる」だけで敬語として完成している

「おっしゃる」という言葉は、「言う」の尊敬語です 。つまり、この時点ですでに相手への敬意が含まれた完成形なんです。「言う」という動詞を尊敬の形に変えたのが「おっしゃる」ですから、これ以上敬語を重ねる必要はありません。

たとえば「食べる」の尊敬語が「召し上がる」であるように、「言う」も「おっしゃる」という独立した尊敬語を持っています。ここがポイントで、もともと敬意が込められた言葉なので、それ以上付け足す必要がないわけです。

2. 「られる」を付けると敬語が重なってしまう

「おっしゃる」に「られる」を付けると、「おっしゃられる」になります。この「られる」も尊敬の意味を持つ助動詞です 。つまり、すでに尊敬語である「おっしゃる」に、さらに尊敬の「られる」を加えることで、敬語が二重になってしまうんです。

これは「行く」を「行かれる」にするのと同じ仕組みです。ただ、「おっしゃる」はすでに尊敬語なので、「られる」を付ける必要がありません。言い換えれば、丁寧すぎて逆に不自然になってしまう状態です 。

3. 文法的には誤りだけど、実際によく使われている

面白いことに、「おっしゃられる」は間違いだと分かっていても、日常会話では頻繁に使われています 。実際、目上の人に対して丁寧に話そうとするあまり、無意識に使ってしまう人が多いんです。

相手への敬意を強く示したいという気持ちから生まれた表現なので、悪気があるわけではありません。ただ、ビジネスの場面や正式な文書では避けたほうが無難です。正しい敬語を使える人のほうが、やはり信頼感を持たれやすいですから。

二重敬語とは?

二重敬語という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは敬語の使い方で起こりがちな間違いの一つで、知らず知らずのうちに使ってしまっている人も少なくありません 。

1. 同じ種類の敬語を二回使うこと

二重敬語とは、同じ種類の敬語を一つの言葉に対して二回重ねて使うことを指します 。たとえば尊敬語と尊敬語を組み合わせたり、謙譲語と謙譲語を重ねたりする形です。

「お読みになられる」という表現も典型的な例です。「お読みになる」がすでに尊敬語なのに、さらに「られる」を付けてしまっています。丁寧にしようという意識が強すぎて、つい敬語を重ねてしまうんですね 。

2. 丁寧にしようと思って逆効果になる場合も

二重敬語は、相手に対する敬意を示そうとする気持ちから生まれます。ただ、過剰な敬語はかえって不自然に聞こえてしまうこともあるんです 。

たとえば上司に対して丁寧に話そうとして、「部長がお帰りになられました」と言ってしまうケース。これも二重敬語ですが、相手によっては「ちょっと大げさだな」と感じることもあります。敬語は適度に使うことで、自然な印象を与えられます。

3. 知らないうちに使ってしまいやすい

二重敬語の厄介なところは、間違いだと気づきにくい点です。耳で聞いていると丁寧に聞こえるため、正しいと思い込んで使い続けてしまうことがあります 。

特に「おっしゃられる」のように、日常的によく使われている表現は、周りが使っているからと自分も真似してしまいがちです。だからこそ、基本的なルールを一度しっかり理解しておくことが大切なんです。

正しいのは「おっしゃる」「おっしゃった」

では、実際にどう言えば正しいのでしょうか。ポイントは、「おっしゃる」という言葉そのものがすでに完成した敬語である点を理解することです 。

1. 「おっしゃる」の基本的な意味

「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語として使われます 。目上の人や取引先の方が何かを言ったときに使う表現です。たとえば「部長がおっしゃったとおりです」「お客様がおっしゃる内容を確認します」といった形で使います。

この時点で敬意はしっかり込められているので、これ以上何かを付け足す必要はありません。シンプルに「おっしゃる」だけで十分なんです。

2. 「おっしゃった」「おっしゃっていた」の使い分け

過去形で使う場合は「おっしゃった」になります 。「先輩がおっしゃったことを覚えています」という具合です。また、過去の継続的な状態を表す場合は「おっしゃっていた」も使えます。

  • おっしゃった:過去の一時点での発言
  • おっしゃっていた:過去のある期間における発言

このように、時制に応じて使い分けることで、より自然な日本語になります。どちらも「られる」を付ける必要はありません。

3. 「おっしゃってください」も正しい表現

相手に何かを言ってほしいときは、「おっしゃってください」という形が使えます 。これも正しい敬語表現です。「ご意見がありましたら、どうぞおっしゃってください」といった使い方ができます。

ただ、もう少し柔らかい印象にしたい場合は「お聞かせください」や「教えていただけますか」といった別の表現に言い換えることもできます。状況に応じて使い分けるといいですね。

ビジネスで使える「おっしゃる」の例文

実際のビジネスシーンでは、どんな場面で「おっしゃる」を使うのでしょうか。具体的な例を見ていきましょう 。

1. 上司の発言を別の人に伝えるとき

上司が言ったことを他の人に報告する場面は、よくあります。このとき「課長がおっしゃっていましたが、明日の会議は延期になるそうです」という使い方ができます。

「課長が言っていました」だと少しカジュアルすぎますし、「課長がおっしゃられていました」だと二重敬語になってしまいます。「おっしゃっていました」がちょうどいい敬語レベルなんです。

2. お客様の意見を確認するとき

お客様とのやり取りでも「おっしゃる」は頻繁に使います。「お客様がおっしゃるとおり、確かにその点は改善が必要ですね」といった形です。

相手の意見を尊重しながら返答する際に使うと、丁寧な印象を与えられます。電話対応でも対面でも、お客様の発言を受けて話すときには自然に使える表現です。

3. メールや文書で使う場合

メールで使う場合も同じです。「先日おっしゃっていた件について、資料をお送りいたします」という書き方ができます。

文章にすると間違いが目立ちやすいので、特に注意が必要です。口頭なら聞き流されることも、メールだと記録に残ってしまいます。正しい敬語を使うことで、相手に信頼感を与えられます。

「おっしゃる」以外の言い換え表現

「おっしゃる」以外にも、同じような意味で使える表現がいくつかあります 。場面によって使い分けると、表現の幅が広がります。

1. 「お話しされた」は柔らかい印象に

「お話しされた」という表現は、少し柔らかい印象を与えます。「部長がお話しされていた内容ですが……」という形で使えます。

「おっしゃる」よりもやや砕けた感じがあるので、社内での会話など、あまり堅苦しくしたくない場面で使いやすいです。ただし、目上の人に対する敬意はちゃんと含まれています。

2. 「仰る(おおせになる)」はやや硬めの表現

「仰る(おおせになる)」は、「おっしゃる」よりもさらに格式高い表現です。あまり日常的には使いませんが、非常に目上の方や、格式を重んじる場面で使うことがあります。

たとえば社長や役員クラスの方の発言を指すときなど、特に敬意を示したい場合に選ぶといいでしょう。ただし、普段使いするとやや大げさに聞こえるかもしれません。

3. シーンに合わせて使い分けるのがコツ

どの表現を選ぶかは、相手との関係性や場面の雰囲気によります。社内の日常的な会話なら「お話しされた」、取引先との正式なやり取りなら「おっしゃる」が無難です。

大切なのは、相手に不快感を与えないことと、自分が自然に使える表現を選ぶことです。無理に難しい言葉を使おうとすると、かえって不自然になってしまいます。

よくある二重敬語の間違い例

「おっしゃられる」以外にも、つい使ってしまいがちな二重敬語はいくつかあります 。代表的なものを見ていきましょう。

1. 「お読みになられる」「お帰りになられる」

「お読みになる」「お帰りになる」は、それぞれ「読む」「帰る」の尊敬語です 。ここに「られる」を付けて「お読みになられる」「お帰りになられる」とするのは二重敬語になります。

正しくは「お読みになる」「お帰りになる」だけで十分です。「社長がお帰りになりました」という形が自然ですね。

2. 「拝見させていただく」も二重敬語

「拝見する」は「見る」の謙譲語で、すでに敬意が込められています 。それに「させていただく」という謙譲表現を重ねると、二重敬語になってしまいます。

正しくは「拝見いたします」や「拝見します」です。ビジネスメールでよく見かける表現なので、気を付けたいポイントです。

3. 「〇〇部長様」は役職と様の重複

これは敬称の重複です。「部長」自体が敬称を含む役職名なので、さらに「様」を付けると不自然になります 。

「山田部長」または「部長の山田様」という形が正しいです。呼びかけるときは「部長」だけでも問題ありません。意外と間違えやすいので、覚えておくといいでしょう。

例外:使ってもOKな二重敬語もある

実は、二重敬語の中にも慣習的に許容されている表現があります 。すべてが間違いというわけではないんです。

1. 「お召し上がりになる」は定着した表現

「召し上がる」は「食べる」「飲む」の尊敬語ですが、「お召し上がりになる」という形も広く使われています 。厳密には二重敬語ですが、長年使われてきたことで自然な表現として認められています。

レストランなどで「お客様、お召し上がりになりますか?」と聞くのは、ごく一般的です。文法的には二重でも、慣用表現として定着しているケースです。

2. 「お伺いする」「拝見いたす」も慣習的に許容

「伺う」自体が謙譲語ですが、「お伺いする」も広く使われています 。また「拝見する」に「いたす」を付けた「拝見いたします」も、ビジネスシーンでは一般的です。

これらは文法的には二重敬語ですが、あまりにも定着しているため、間違いとは言い切れない状況になっています。相手に違和感を与えないなら、使っても問題ないでしょう。

3. 完全に間違いとは言えないケースもある

言葉は時代とともに変化していきます。かつては間違いとされていた表現が、使われ続けることで許容されるようになることもあるんです 。

ただし、正式な場面や文書では、基本的なルールに従ったほうが安心です。相手がどう受け取るか分からないときは、文法的に正しい形を選ぶのが無難でしょう。

まとめ:自然な敬語を心がけよう

「おっしゃられる」は二重敬語として間違いだと分かっても、完璧に使いこなすのは簡単ではありません。大切なのは、相手への敬意を持ちながら、無理のない自然な言葉を選ぶことです 。

敬語に正解はあっても、コミュニケーションには相手との関係性や場の雰囲気も影響します。間違いを恐れすぎず、少しずつ正しい使い方を身につけていけばいいのではないでしょうか。言葉は人と人をつなぐ道具ですから、形式だけにこだわらず、伝えたい気持ちを大切にしながら使っていきたいですね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次